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プラハ在住会員からの現地便り |
| column #1 |
チェコ人と夏 |
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夏になると多くのチェコ人は2〜4週間の休暇を取って、どこかへ出掛ける。国内なら自分の別荘や山のリゾート地など。海外なら、まずはもちろん海辺である。海のない、そして長く暗い冬を経験するチェコ人だから、太陽がキラキラ輝く海への想いは当然ながら強い。ではチェコ人に人気で、しかも実際に足を運ぶ海辺とはどこなのか?この質問の答えは、その人の懐具合によるところが大きいが、例えば、クロアチア、ブルガリア、チュニジアの海辺へは多くのチェコ人が行く。次に、カナリア諸島、スペイン、ギリシャ、エジプト、東南アジア(特にタイ)と足を伸ばし、もし、とてもお金持ちならオーストラリアとなる。現地では毎日ビーチでひたすら甲羅干し。真っ黒になって帰国するのである。夏前のテレビのニュースでは皮膚がんの予防について専門家がコメントしていたが、ちょっと陽が射せばそのあたりの公園でも服を脱いで日光浴してしまうチェコ人だから、皮膚がんになる可能性も高いのかもしれない。 もし海でなければ、自転車旅行をするチェコ人も多い。国内はもちろん、イタリアやフランスあたりまで行って、その土地を自転車で見て回るというスタイルだ。しかしローマやパリと言った大都市ではない。自然の美しい地方都市を訪ねるのだ。チェコ人は本当に自転車が好きである。もし機会があれば、チェコ人に「あなたの趣味は何ですか?」と尋ねてみると良い。「自転車」と答える人の多さにきっと驚くはずだ。夏に限らず、週末に数十キロの自転車小旅行をするのはチェコ人にとって、ごく普通のことである。 夏には休暇と勉強とアルバイトを兼ねて、外国へ行くという学生も多い。アメリカやオーストラリアのホテルなどで働きながら英語を学び、休みの日には観光やスポーツを楽しむ。面白いパターンとしては、アイルランドやイギリスの田舎の農場でブルーベリーやラズベリーの収穫のアルバイトをするというのもある。これがまた人気で毎年申し込みが殺到するらしい。 初めに「別荘」と書いたが、都会に住むチェコ人の多くは郊外に別荘を持っている。別荘と言っても何も豪華なものではなく、自分たちが手作りで建てたような山小屋風のものが一般的だ。週末になると、食料を車に積み込み、いざ別荘へ。着けば、庭仕事をしたり、ただのんびり本読んだりしてくつろいだり、周辺を散歩したり、そんな風にして過ごす。普段はプラハの住宅街の路上にはたくさんの車が止めてあるが、週末ともなると、「道路はこんなにも広かったのか!」と思ってしまうほど、車がほとんどないガラーンとした光景が目の前に広がる。別荘へ移動済み、なのだ。普段なら週末にしか行くことのできない別荘で長い休暇を楽しめるのも夏である。 とは言っても、誰もが長期の休暇を取れるわけではない。様々な理由で街を出ることが出来ない人もいる。そんな人たちのためにも、夏は街でも特別なイベントが目白押しである。野外でのロック・コンサートや夕刻に行われるプラハ城でのシェークスピア劇は例年、早いうちにチケットが売切れてしまうほどの人気であるし、その他にもブルタバ川の中洲にスクリーンを張っての映画上映や遊覧船の上でのジャズ演奏なども楽しい。 こんな風に旅行に出掛けたり、イベントに参加したりの夏は確かにワクワクするものだ。しかし、例えば、図書館のような公共機関が一ヶ月丸々閉館してしまったり、郵便局に行けば窓口が普段の半分くらいしか開いていなかったり、担当者が休暇中で書類が処理できないから2週間後に出直して欲しいと言ってしまう会社など、7・8月のプラハはほんの少し動きが鈍ってしまうのも事実である。日本ではちょっと考えられないことだ。しかし、ここでイライラするようではチェコ生活は成就しない。ゆったりとした気持ちで普段よりももっと寛大に、これがプラハで暮らす日本人の夏の鉄則かもしれない。(R) |