プラハ在住会員からの現地便り

  

column #2

 ヘルシーライフ in CZ

  

column #1 チェコ人と夏 に戻る      column #3 プラハの師走 に進む

  

チェコの伝統料理と言えば、濃厚なソースがたっぷりかかったお肉にクネドリーキと呼ばれる蒸しパンや茹でたり焼いたりしたじゃがいもが添えてあったりして、見るからにお腹にどしりとくるものが多い。それでも味は日本人の口に合い、個人的には種類豊富なチェコのスープはどれも本当に美味しいと思う。しかし、総体的にチェコ料理には野菜が不足している。その上、ラードが味の決め手として使われることが多く、料理のカロリーが高いため、チェコ人の肥満率はEUの中でも上位だそうだ。しかし、このようにお肉中心で野菜の少ないチェコの伝統的な食生活にも最近、少し変化が起きている。「オーガニックな食材を使ったヘルシーな食事」が世界的ブームになっている昨今、ここプラハでもそれが流行の兆しを見せているのだ。

旧市街広場に程近い自然食品を専門に扱う店に併設されたベジタリアン・レストランはお昼時ともなれば、長蛇の列が出来る。このようなレストランの利用者は数年前まではほとんどが外国人だったと記憶している。しかし、今ではテーブルのあちらこちらからチェコ語が聞こえる。もちろん、このような食生活をするチェコ人は全人口から見るとまだまだ少数派ではあると思うが、「ただお腹が一杯になれば良い」から、「出来るだけ体に良いものを」という意識は着実に人々に広がりつつある。

それを伺わせるかのように、新聞や雑誌には「健康的な食のすすめ」的な記事もよく掲載されている。時には、日本人の食生活が紹介されることもある。プラハ市内に数件あるオーガニック食材やベジタリアン向けの食品を扱う専門店では豆腐、納豆、梅干、わかめ、ひじき、のり、味噌、醤油なども売っており、チェコ人や外国人がそのような食材を手にしている姿もしばしば見かける。和食がヘルシーで体に良いことはチェコでも知られており、ここ何年かのうちに数件の新しい和食レストランがオープンしたり、チェコ料理や多国籍料理のレストランでお寿司などの和食を出すところもでてきたほどだ。中でも豆腐は一般のスーパーで常時売られており、プレーンなものに加え、にんにく味、ハーブ味など日本人にはちょっと・・・、という変り種まである。豆腐はチェコでもTOFUと言い、チェコ人にはすっかりお馴染みの食材となっている。

「オーガニック」のことをチェコではBIOと呼ぶが、この表示の書かれたお肉も最近ではスーパーに並ぶようになった。割高ではあるが、それなりの売り場面積を保っていることからすると、確かな需要が伺える。食の安全と安心をBIOに求める動きもこれから本格化するのではないかと思われる。

今回は様々な形で広がりつつあるチェコのヘルシーライフをご紹介したが、チェコへ旅行された際にはやはり伝統料理に舌鼓を打ってみたいと思われるだろう。最近のガイドブックには写真付きで料理の紹介もされているので、それを参考にされるのも良いが、機会があれば、是非チェコのスープを試して頂きたい。チェコ独特のコクがあるスープは特に寒い季節にはぴったりである。

飲むものと言えば、チェコにはこれからの時期、楽しみな飲み物がある。それは、この夏、樽詰めしたばかりの若いワインを発酵する前の期間限定で味わうというものだが、アルコール分がまだ余りなく、とろみがあって甘い、濃厚なブドウジュースのような感じと言える。これはチェコだけではなく、ワインの産地ではどこでも飲まれているようだが、チェコでは9月中旬から10月中旬がベストシーズンで、チェコ語ではこの飲み物を「ブルチャーク」と呼ぶ。この時期、これが飲めるお店の窓ガラスには「美味しいブルチャーク、2dl ○○コルン!」などと大きく書かれたりする。そういったお店では空きペットボトルを持っていくと、それに入れて売ってくれるのも、面白い光景だ。

 秋のブルチャークで、ふと思った。季節のものをバランスよく食す、それが一番の「ヘルシー」なのだと。(R